遂に見つけた最高の授業 – 「M&A」

遂に見つけた最高の授業 – 「M&A」

遂に出会えました。

1年目の授業はつまらないつまらないとひたすら嘆いていた自分ですが、やっと自信を持ってオススメできる授業に出会えました。

まだ授業は半分以上残っているのですが、あまりに嬉しいので、取り敢えず学期半ばで投稿してしまおうと思います。

スタンフォードの授業は何かと授業名が長いのですが(例:”Formation of New Ventures”, “Investment Management and Entrepreneurial Finance”, ” Beyond Disruption: Entrepreneurial Leadership Within Existing Organizations”等)、この授業は至ってシンプル!

“M&A”

GSBの授業は、Accounting, Finance, HR, Marketing, Organizational Behavior, Strategy, General and Interdisciplinaryの区分に分けられるのですが、なんとこのM&Aは最も不人気な”Accounting”の授業扱い!

朝8時半からの授業、しかも多くの生徒が敬遠するAccounting科目ということもあり、意外にすんなり授業を履修することが出来た(定員数を超えると、抽選になってしまう)。

なんとこの授業、授業のほとんどをOracleの現Co-CEOのSafra Catzが直々に教えてくれるんです。(Accountingの教授と共同レクチャー)

このSafra、2014年にOracleの創業者Larry EllisonがCEOを降りてから、Mark Hurdと共にCo-CEOを務めている現役バリバリの女性CEOです。
(2017年には、世界で最も報酬の高い女性CEOに!)

2004年に投資銀行からOracleに転職してからは、OracleのM&A部隊を率いり、CEOになる前はCFOとしてもOracleの代名詞でもあるド派手な投資を牽引しています。

こんな死ぬほど忙しいであろう人が、毎週金曜日の朝8時半にサンフランシスコから片道1時間近くかけてスタンフォードまで来てくれ、そこから3時間もひたすらM&Aについて、色んな側面から教えてくれるその姿勢にまず感動しました。
(普通、このようなゲストはゲストスピーカーとして1回来てくれるか、珍しく毎回いるとしても直接教えることはあまりないです)

しかも、教えるのがそのへんの教授より遥かに上手い(笑)。

ちゃんとファイナンス未経験者にも分かるように、バリュエーションの基礎であったり、M&A交渉のコツであったりをちゃんとその都度、しっかりと教えてくれるので、ファイナンスの授業に有りがちな「分かる人にしかわからない」状態にならない為、クラス全員の満足度が高く、生徒の食いつきも他ではなかなか見ない水準です。

基礎で終わることなく、いつもそこから実経験に基づいた学びであったり、M&Aの交渉相手を上手くボコボコにする(笑)方法であったり、応用まで毎回テーマ毎に一話完結型の授業構成になっています。

彼女は話し方自体はソフトなものの、内容自体はとてつもなくパワフルで、投資銀行時代は”Safra Fierce”と呼ばれていたとか(笑)

授業中も、他社の酷いM&Aを「完全なゴミをあんな値段で買うなんて馬鹿げている!!」とコメントしたり、過去にM&Aの交渉で電話越しに「今すぐ我々に対する売却を決断しなければ、あなたが今後聞こえるのは、私が交渉の場から立ち去るビーチサンダルの音だけだ」と脅したり、と、信じられないぐらいパワフルです。

クラス全員が、彼女の爆弾発言の度に「こえーーー」と思いながら笑うことが、1回の授業あたり10回ぐらいあります(笑)

また、授業毎にテーマに沿った豪華ゲストもスピーカーとして呼んでくれます。

初回は、彼女のM&A部隊のキーメンバー3名、その次はPIXAR、Marvel, Lucasfilms等の買収を手掛けたディスニーのKevin Mayer、そして今回はCISCOやAmazonのIPOを手掛け、モルスタ、ドイチェ、クレディ・スイスのそれぞれの投資銀行で初めてテクノロジーセクタープラクティスを立ち上げたFrank Quattrone、と、Safraのコネを活用した豪華ゲストによるレクチャーも豊富です。

古くからある名物授業以外では、ここまでの面子が集まることはあまりないのですが、その全員がSafraをとても尊敬しているのが伝わってきて、Safraの人望で成り立っていることがひしひしと伝わってきます。
(Frank Quattroneに至っては、多くの場合はSafraの対面のフィナンシャル・アドバイザーとして立つことがほとんどだった為、ビジネス上は「敵」になりますが、お互いにとても尊敬しあっていることが伝わってきました)

そんな人望もあり、パワフルなSafraですが、先週の金曜日の授業中に一度言葉を詰まらせた場面がありました。

珍しく音が鳴った携帯を確認すると、「Can you give me a moment please…」と、一旦止まり、10秒後に、Co-CEOのMarcが亡くなられたことをクラスに伝えてくれました。

どうやら、当日の早朝には、元々病気の為に一時休職していたMarcの具合が急変してしまったらしく、Safraも授業に来られるか分からないと、もう一人の教授に電話していたとのことでした。

後から聞いたところによると、そのもう一人の教授が授業開始30分前に教室に着くと、既にSafraは誰よりも早く到着し、準備を始めていた、とのこと。(ちなみにいつも誰よりも早く来るらしいです)

授業の途中でMarcが亡くなられたことを知ったものの、そのまま授業を続行してくれました。あまりに自然で、もう亡くなられたのはもっと前の話だと勘違いしてしまう程に。

ただ、3時間の授業の前半が終わり、休憩に入ると、Safraは教室の隅で電話しながら泣いていました。(自分の席がたまたま端っこだった為、目撃してしまった)

しかし、休憩が終わると、また普通に授業を再開し、通常通りに3時間の授業が終わりました。

元々、こんな忙しい中、毎週我々の為に来てくれるのにも関わらず、古くからの戦友を亡くし、Co-CEOから単独のCEOになってしまうこんな緊急事態にも関わらず、役割を全うするSafraからは究極のプロフェッショナリズムを勉強させてもらいました。

「どんな厳しい交渉の場面でも、必ず冷静に」と教えてくれたSafraですが、交渉の場面ではないとは言えど、こんな状況にも関わらずクールを保つ姿には心底尊敬の念を抱きました。

スタンフォードでは、「大企業」は何かと敬遠され、「面白くない」というラベルを貼られることが多いのですが(実際のところ、そのような大企業のゲストスピーカーは確かにあまり面白くない人は多いですが…)、そんな偏見を跳ね除けてくれたこの授業は、自分がこれまで受けた授業の中でダントツです。

ちなみにまだ4週目です(笑)

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